
男性型脱毛症は男性のみの脱毛症と思われがちですが、女性の脱毛症の中にも、男性ホルモンの影響により脱毛するものがあり、これも一種の男性型脱毛症と考えることができます。
桑名皮フ科医院に髪の悩みで訪れる女性のうち、約半数が男性型脱毛症でした。
しかし、女性の場合、男性よりもヘアサイクルが長く(男性は2~5年、女性は3~7年)、また、頭皮の老化も男性に比べると緩慢なため、前頭部の生え際が後退することはなく、症状も男性型脱毛の初期程度でそれ以上に進むことはありません。
そのため、男性のような顕著な脱毛は起こりにくく、髪がやせて全体が薄く見える「びまん性脱毛症」の症状となります。
そして、女性の薄毛で次に多いと思われるのが「慢性休止期脱毛症」です。
これはヘアサイクルの休止期にあたる髪の割合が通常より多くなるもので、髪が全体的に薄くなり、ボリュームが少なくなってきます。これは、加齢や膠原病や糖尿病などの内臓疾患の影響や貧血やダイエットなどによる栄養不足によって起こると考えられています。症状としてはやはりびまん性脱毛症で、女性の男性型脱毛症よりは若干高齢の場合が多く、徐々に進行していきます。
前述の桑名皮フ科のデータでは、女性患者の約3割がこのタイプでした。また、その他には、加齢により頭全体が疎毛になり、髪がやせる「老人性脱毛症」の方が若干みらました。
これらの3つのタイプは女性の代表的な脱毛症といえます。
原因は違いますが、加齢とともに現れる場合が多く、いずれも症状としてはびまん性の脱毛症なので最近では総称して女性型脱毛症と呼ばれています。
男性と違い女性型脱毛症の場合は、主に老化や生活習慣の乱れによる毛根への栄養不足が原因と思われ、育毛効果のある育毛剤と生活習慣の改善によって、豊かな髪を取り戻す可能性が高く、特に中高年女性の方が改善しやすい傾向があります。

“びまん性脱毛症”を大別すると、女性の男性型脱毛症、慢性休止期脱毛症、老人性脱毛症となります。
女性の男性型脱毛症・・・52.0%
慢性休止期脱毛症・・・32.7% (以下ABを含む)
A.内臓疾患に合併するもの(膠原病、鉄欠乏症貧血、橋本病、バセドウ病、糖尿病、ダイエットなどによる低栄養状態、亜鉛欠乏症)
B.薬剤の副作用
老人性脱毛症(更年期以降の加齢による変化)・・・15.3%
男性型脱毛症は男性ホルモンであるテストステロンが関与しています。
テストステロンは5αリダクターゼという酵素の働きによってジヒドロテストステロンという強力な男性ホルモンに変化し、毛乳頭や毛母細胞に作用し発毛を抑制します。男性の前頭部と頭頂部は最も男性ホルモンの影響を受けやすいために、この部分から脱毛が始まるのです。
女性の場合は、男性ホルモンの分泌量が男性の1/20程度のため、男性よりもこの影響を受けにくくなっていますが、副腎腫瘍などで男性ホルモンが増えたり、再生不良性貧血の治療で男性ホルモンを大量に投与したり、更年期以降女性ホルモンが減少し、相対的に男性ホルモンの濃度が高くなると男性型脱毛症になりやすくなります。
女性ホルモンと頭髪も密接な関係にあります。
例えば出産後に脱毛が起こる分娩後脱毛症は、おなかの子供に栄養を取られてしまうことや、妊娠後期にエストロゲンなどの女性ホルモンによって成長期を維持してきた頭髪が、出産後一気に休止期に入ってしまうため起こるという説とプロラクチン(乳汁分泌ホルモン)が原因とも考えられています。
また、経口避妊薬は、プロゲステロンという女性ホルモンの一種で、これを内服中に脱毛することもありますし、一定期間内服した後で中止すると、一時的に休止期毛が多くなり、時に脱毛することがあります。
また更年期の女性は、女性ホルモンが減少して内臓に脂肪が蓄積して太り易くなり、その結果、血流が悪くなり髪に十分な栄養が行き届かなくなり、これも薄毛の原因になります。
20代~40代の女性に髪に関する悩みがあるかどうかを聞くと「ある」と答えた人は64.6%でした。
女性の3人に2人が、何らかの髪の悩みを持っていることになります。
「ある」と答えた人は、20代は63.1%、30代は65.5%、40代は65.1%と、年代別に差は見られず、それぞれ年相応の髪の悩みを持っていると考えられます。
老化 |
加齢による毛の細胞自体の老化や、動脈硬化による血液の循環不全などで毛包(皮膚下で毛を包んでいる部分)が縮小・消失し毛が抜ける。 |
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極端なダイエット |
1ヵ月で5キロ減などというダイエットではほとんど栄養失調状態になり、そのため毛組織も栄養失調で成長期を維持できず、休止期毛が増えて脱毛する。 |
女性ホルモン(遺伝) |
また、最近では女性ホルモン(遺伝)も脱毛の要因という説があります。これは女性ホルモンはBMP-2というタンパク質を誘導して、発毛の方向に作用しますが、遺伝的に逆の方向に働くことがあるという考えです。 |
内科的疾患・薬剤 |
内臓疾患(膠原病、鉄欠乏症貧血、橋本病、ポセドウ病、糖尿病、亜鉛欠乏症)や薬剤の副作用によって脱毛することがあります。 |