「甘藷を食べると血糖値が下がる?!カイアポイモの血糖値抑制メカニズムを解明」 米科学雑誌に論文掲載
- 2023.03.29
- 研究


立命館大学生命科学部の向英里教授らの研究チームとの共同研究にて、ブラジル原産の白甘藷であるカイアポイモの血糖値に対する効果を研究しました。その結果、カイアポイモが食後血糖値上昇を抑制することを明らかにし、またその有効成分や血糖値抑制メカニズムに ついても示しました。本研究成果は、2023年3月23日に、米科学雑誌「Heliyon」に掲載されました。
本件のポイント
■ 食事前にカイアポイモを摂取することで食後血糖値上昇を抑えることができる
■ 食べ続けることで血糖値を抑えることは以前から知られていたが、急性的な効果は初めて示された
■ カイアポイモがもつ複数の血糖値抑制メカニズムを解明した
<研究の背景>
糖尿病患者は年々増え続けており、世界レベルで考えなければならない大きな問題である。2021年では5億3700万人の成人患者数であるが、2030年には6億4300万人、2045年には7億8300万人になると予想されている。糖尿病は食事や運動などの生活習慣に大きく影響される。糖尿病になる前には食後高血糖がみられることから、食後高血糖を防ぐことは糖尿病発症の予防につながる。したがって、食後高血糖を抑える食事方法や食品を明らかにすることが期待されている。
<研究の内容>
カイアポイモの長期摂取による効果はこれまでにもみられていたが、単回摂取による急性的な血糖値上昇抑制効果を示したのは今回が初めてである。また重要なのは、それが糖尿病動物ではなく健常動物においてみられたことだ。さらに、その効果は膵臓からのインスリン分泌ではなく肝臓や筋肉でのインスリン感受性の亢進によるものであった。また、また、そのインスリン感受性を亢進する成分について明らかとなった。加えて、食後ではなく空腹時の肝臓からの糖の放出を抑制する成分についても明らかとなった。普通の甘藷(サツマイモ)ではこのような明らかな効果は認められないことから、カイアポイモには血糖値を制御する複数の成分が含まれており、それらが総合的に効果を発揮していると考えられる。

<社会的な意義>
生活習慣の改善が糖尿病の悪化防止や予防に重要であることは周知の事実であるが、その対策として運動を行うことより食事を工夫することの方が日々の生活に取り入れやすい。今回の研究でカイアポイモの血糖値抑制効果が明らかになったことから、糖尿病予防に有効な機能性食品として開発が進み、サプリメントなどで広く普及されることが期待される。
<向英里教授のコメント>
富士産業さんとのご縁があり、この研究が始まりました。カイアポイモ粉末を動物に一回投与するだけで血糖値がみごとに抑制される結果をみて、当初は驚きました。研究を進めていくうちに、カイアポイモにはさまざまな有効成分が含まれていて、それらが総合的に血糖値制御によい作用をもたらすことがわかりました。カイアポイモは日本でも四国の一部の地域で昔から取り入れられていたようで、このような民間治療薬として使用されていた食品はまだまだ多く存在すると思われます。糖尿病患者数は増加の一途をたどっています。これからも自然界に存在する血糖値に有効なものを探して研究していきたいと思います。
<用語説明>
※1カイアポイモ:ブラジルのミナス・ゼライス州カイアポ山地が原産地とされる芋で、その発見者の息子の名前をとってシモン芋とも呼ばれている。また、その白い外観や果肉の白さから白甘藷とも呼ばれている。一般的なサツマイモに比べ、ビタミン類やミネラルが非常に多く含まれ、健康食品として注目されている。
※2単回摂取:通常、食品や栄養素の効果は食餌や飲料水に混ぜ長期的に与える検討をすることが多いが、今回の検討は一回の経口投与で行っている。すなわち急性的な効果をもつかどうかの検討になる。
カイアポ素材紹介ページもご参照ください。

